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栄養素の種類

文責 柔道整復 創健堂 院長 榊原孝文

私たちが毎日とる食事には、様々な栄養素が含まれています。ここではその栄養素についてお話します。

〇たんぱく質

〇脂質

〇糖質(炭水化物)

〇糖質

〇ビタミン

■ビタミンA

■ビタミンB群

ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン

■ビタミンC

■ビタミンD

■ビタミンE

■ビタミンK

〇ミネラル

カルシウム、マグネシウム、セレン、クロム、その他の微量栄養素

 

【それぞれの栄養素の代表的な働きと不足症状】

 

〇タンパク質

私たちが生きていく上で必要不可欠な栄養素で、三大栄養素の1つ

私たちの体は、脳や心臓などの内臓や骨、筋肉、皮膚、毛髪、爪など、ほとんどがタンパク質からできていて、体の中のタンパク質量は体重16.4%を占めています。タンパク質なくして、体は動くことも形を保つことすらもできないんです。

血液中の酸素を運んだり、骨や筋肉をつくったり、食物を消化・分解をしたり、有害物質を処理したりなど、マルチな働きの担い手、それがタンパク質です。

 

〇脂質

体の細胞膜、角膜、ホルモンなどの構成成分となるほか、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・Eなど)の吸収を助けて、からだの機能や生理作用などを一定に保つよう働きます。貯蔵脂肪としてエネルギーの貯蔵もしてくれていますが、摂り過ぎると血液中に脂質が増え過ぎて、血管壁に脂質が分解されずに残る事になるので、肥満や高脂血症といった生活習慣病になってしまいます。

 

〇糖質(炭水化物)

エネルギーになる栄養素の中で最も重要なものです。日本人の一般的な食事では、摂取エネルギーの60%前後を糖質で得ています。消化できるものを「糖質」、消化できないものを「食物繊維」として炭水化物を2つに分類しています。

不足すると、脳や神経の活動を阻害してイライラ感がつのり、倦怠感、無気力状態に陥ります。糖質は、ビタミンB1と一緒に摂ることによって、効率よくエネルギーにすることができるので、お菓子などのビタミンを含んでいない糖質ばかり食べていては、脳の栄養源にはなりません。

〇ビタミン

ビタミンA

皮膚や粘膜の形成に欠かせないビタミンです。喉・鼻の粘膜が乾燥するのを防いだり肺・気管支といった呼吸器系の抵抗力を高め、風邪などの感染症にかかりにくくしたりします。病気の回復を早めるほか、みずみずしい肌や艶やかな髪、丈夫な爪を育てるなど美容にも関係しています。さらに、ガン予防にも効果があるという研究も発表されています。

 

目のビタミンとも言われ、目の網膜にあるロドプシン(見るために必要な神経伝達物質)の材料になります。目の表面の角膜と涙を接着したり、涙量を増やして目の粘膜の保湿性を高めたりして、目を乾燥から守る働きもあります。

 

これが不足すると光に対しての反応が鈍くなり視力低下につながり、欠乏が続くと暗いところで物が見にくい夜盲症になります。

※ビタミンAを多く含む食品

バター、チーズ、卵黄、レバー、海苔、シソ、パセリなど

油に溶けるビタミンなので、油いためや揚げ物にすると吸収がよくなります。


ビタミンB

水溶性ビタミンの中で、働きが似通っているものを総称してビタミンB群(ビタミンBコンプレックス)と言い、酵素の働きを助ける補酵素の働きを持っていて、それぞれが助けて合って働きます。

 

ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン

 

タンパク質・糖質・脂質がからだの中でエネルギーに変わるのを助け、ストレスに負けない強い身体づくりには欠かせないと同時に、女性が気になるお肌の状態を整える栄養素です。

※ビタミンB群を多く含む食品

ビタミンB1・・・

ビタミンB2・・・

ビタミンB6・・・

ビタミンB12・・・

ナイアシン・・・

パントテン酸・・・

葉酸・・・

ビオチン・・・


ビタミンA

ビタミンC

美容効果があることで有名になっていますが、生命活動の局所で重要な役割を果たしているビタミンです。

ビタミンCは、細胞と細胞をつなぐコラーゲンというタンパク質の合成に関与しているので、不足すると血管壁の結合がゆるんで出血してしまいます。

 

切り傷などが治りにくいとか歯茎からの出血などが見られるなら、不足しているのかもしれません。

※ビタミンCを多く含む食品

みかん・イチゴなどの果物、緑黄色野菜、いも類などに多く含まれます。


ビタミンD

脂溶性ビタミンで、食べ物から摂れるほかに、日光を浴びると私たちの体内でもある程度つくり出せるビタミンです。

普通、必要量は皮膚での生成量で十分まかなわれますが、日照量の少ない地域に住む人やお年寄りなど室内で過ごす時間の多い人などでは、その量が不足します。

 

ビタミンDは、カルシウムやリンなどのミネラルの代謝に関係することから不足すると子供のくる病などの骨形成異常が起こることで知られています。

 

ガン化した細胞を正常化する働きも報告されています。

※ビタミンDが多く含まれる食品

レバー、バター、牛乳、干しシイタケ、マグロ、イワシ、カツオなど


ビタミンE

優れた抗酸化作用をもつ脂溶性ビタミンで、体内の脂質を酸化から守り、細胞膜や生体膜を活性酸素から守ってくれる栄養素です。この効果により動脈硬化・心筋梗塞・脳卒中の予防、心臓や脳血管などに起因する様々な生活習慣病を予防します。

 

『若返りビタミン』と呼ばれるほか、生殖・出産に関係の深いビタミンでもあります。


ビタミンK

ビタミンKは、脂肪に溶ける脂溶性ビタミンで、おもな作用は、血液を固めて止血させること、そして骨の代謝に関係することです。

 

発酵食品の摂取や腸内細菌のはたらきによって、ビタミンKがつくられています。ビタミンK欠乏症では、血液が固まる時間が遅れたり、わずかな傷から出血などがおこります。

 

かつて、乳児のビタミンK欠乏性出血症による突然死がおこって問題になったことがあります。そのほか、骨粗鬆症にも深くかかわっています。

ビタミンKは、からだの脂肪に蓄積されますが、過剰症は知られていません。

 

新生児のビタミンK欠乏性出血症の原因として胎児期に母体から受ける量が少ないこと、新生児の腸内には腸内細菌が少ないため、細菌によるビタミンKの合成が少ないこと、母乳中にビタミンKが少なく、乳児の吸収力も低いことなどが挙げられます。

 

おとながビタミンK欠乏症をおこす原因には、一部の抗生物質の使用があります。抗生物質は、腸内の細菌を死滅させてしまうことでビタミンKが不足してしまいます。

※ビタミンKを多く含む食品

ほうれん草・小松菜・春菊などの緑黄色野菜、海藻類、緑茶、納豆など


〇ミネラル

カルシウム

ミネラルの中で体内に含まれる量が最も多い栄養素で、リン酸カルシウム・炭酸カルシウムの形で99%は骨や歯に蓄えられ、残りの1%が血液や筋肉中に存在します。

 

代表的な働きは、骨や歯を作ることで知られるように骨格を保つことです。不足状態が続くと骨が弱くなって骨粗鬆症などの原因になるほか、成長期に不足すると、成長が悪く歯の質も低下します。

 

骨中では、骨形成(新しい骨を作る)と骨吸収(古くなった骨を壊す)という一連の代謝が活発にされていますが、カルシウムは不可欠の物質です。

 

その他に、ストレスの軽減、心筋の収縮を増加させて心臓の規則正しい働きの手助け、血液凝固、細胞分裂の促進、白血球の貧食作用の補助、ホルモンや唾液・胃液の分泌調整、体内での鉄の代謝補助など、生命維持に欠かせない多くの働きを担っています。

 

本当はカルシウム不足であるにも関わらず、細胞内にカルシウムが多量に沈着(石灰化)して、過剰にあるかのように矛盾した現象を「カルシウム・パラドックス」と呼びます。これは、様々な生活習慣病や老化の元凶となっています。

 

血中にカルシウムが増えると、血管が縮んで高血圧や動脈硬化になりますし、脳細胞で増加すると、アルツハイマーや認知症につながります。

※カルシウムを多く含む食品

小松菜、モロヘイヤ、いりごま、ワカサギ、干しエビ、ししゃも、丸干しイワシ、凍り豆腐、プロセスチーズ、牛乳など


マグネシウム

300以上の酵素(体内で起こる様々な化学変化【代謝】をおこなう物質)にかかわる非常に重要なミネラルです。

成人の場合、マグネシウムは体内に25g含まれていると言われ、その内70%は骨や歯に存在して骨の弾力性を維持する働きもあります。

 

また、腸で水分を集め便通をよくする働きがあるほか、メタボリックシンドロームの一連の症状である、内臓脂肪・血糖値・コレステロール・中性脂肪・高血圧のリスクを下げることが報告されています。

※マグネシウムを多く含む食品

海藻類、干しエビ、ほうれん草、鶏卵、大豆水煮、糸引き納豆、枝豆、きな粉など


セレン

体内でビタミンEと一緒に抗酸化物質として作用し、正常な細胞が酸化しない(錆びつかない)ように保護します。

老化の進行を遅らせる、狭心症・心筋梗塞・ガンなどの予防に役立つと期待されています。

 

セレンは、ビタミンEの約100~500倍もの抗酸化作用から著しい臨床効果を残しています。

※セレンを多く含む食品

鰹節、たらこ、まがれい、マグロ、かつお、えび、かに、カキ(貝)など


クロム

糖質や脂質の代謝を助ける働きがあるため、別名『代謝ミネラル』とも呼ばれます。

 

クロムは、三価と六価という2つの状態で存在しますが、私たちの健康管理上、重要なのは「三価クロム」です。

環境汚染で問題となっている人工的に生成された「六価クロム」と違って毒性はありません。

 

血中の中性脂肪やコレステロール値を正常に維持する作用をもっています。そのため動脈硬化、高血圧などの生活習慣病を防ぐ効果が期待できます。

 

クロムはエネルギーの消費を促進してくれることからダイエットにつながり生活習慣病予防となります。

 

※クロムを多く含む食品

ひじき、さつまいも、ほうれん草、大豆、さんま、あさり、豚ロース肉など


これ以外にも、鉄(Fe)・リン(P)・カリウム(K)などのミネラルが体内に存在していて、それぞれ大切な役割を果たしています。

 

※鉄を多く含む食品

肉・肉加工食品、豚レバー、赤身牛肉、まぐろ、鰹、小松菜、ほうれん草、大根葉など

 

※リンを多く含む食品

肉、魚、卵、乳製品、豆類などタンパク質の多い食品

 

※カリウムを多く含む食品

バナナ、夏みかん、里芋(いも類)、海藻類、納豆、黒砂糖など

栄養素の必要量は、個人個人で違います

これまで紹介してきた栄養素の働きはこれだけではありません。

 

・エネルギーをつくり出す(エネルギー産生系)

・物質を作り変える(物質代謝系)

・ホルモン分泌や遺伝子の働きに関わる(調節制御系)

・免疫、解毒、抗ストレス(生体防御系)

等々いろいろな場面で働き、またその必要量は人によって違いがあります。

 

ビタミンやミネラルの必要量は全ての人が同じではないので『自分の必要量は自分で体感的に見つける』必要がありますね。