~歴45年の柔道整復師が語る、医療の現状と私たちの役割~
こんにちは。いつもブログをお読みいただき、ありがとうございます。柔道整復師の榊原孝文です。
これまで、慢性的な痛みの原因の一つとして「背骨の歪み」の重要性をお伝えしてきました。そして、当院ではその歪みにアプローチすることで、多くの方の痛みを改善できることが経験的に分かっています。

しかし、患者様の中には「病院でレントゲンやMRIを撮っても、特に異常はないと言われたのですが…」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。なぜ、私が重要だと考える「背骨の歪み」は、病院の検査ではそれほど問題視されないのでしょうか?
それは、西洋医学と柔道整復師が捉える視点、そして検査の目的が異なるからだと考えられます。
病院で行われる画像検査(レントゲン、MRIなど)は、主に骨折、腫瘍、椎間板ヘルニアのような、目に見える器質的な異常を見つけることを目的としています。これらの検査は、重篤な疾患を見つけ出すためには非常に有効な手段です。

一方、私たちが問題としている「背骨の歪み」は、多くの場合、骨そのものの変形や変性というよりは、わずかなズレや関節の可動域制限、筋肉のアンバランスによって引き起こされます。
しかし、これらの微細な変化は、レントゲンやMRIといった画像検査では捉えにくいことがあります。

また、西洋医学においては、痛みの原因を単一の部位や組織に特定しようとする傾向があります。
例えば、腰痛であれば腰の骨や椎間板、膝の痛みであれば膝関節といったようにです。もちろん、特定の部位の異常が痛みの原因となることもありますが、体全体のバランス、特に背骨の歪みが、離れた部位にまで影響を及ぼすという全身的な視点は、必ずしも重視されていない場合があります。
さらに、現代の医療は、多数の臨床試験に基づくエビデンスに基づく治療法を重視しています。
また最近では社会的ストレスが、痛みの原因になることを指摘されるようにもなりました。

しかし、「背骨のわずかな歪み」と慢性痛の関連性を、厳密に科学的に証明することは、非常に困難な側面があります。そのため、エビデンスに基づいた治療ガイドラインにおいては、背骨の歪みへの直接的なアプローチが主流とはなっていないのが現状です。
しかし、柔道整復師である私は、長年の施術経験を通して、「背骨の歪みを整えることで、多くの慢性痛が改善する」 という事実を肌で感じています。画像には写らない、患者様の体のわずかな変化を触診によって感じ取り、その歪みに合わせた手技療法を行うことで、症状の改善を目指し、実際に改善することができています。

これは、西洋医学のアプローチが間違っていると言いたいのではありません。それぞれの専門分野には、得意とすることがあります。西洋医学は、急性期の疾患や重篤な病気の診断・治療において、なくてはならない存在です。
しかし、慢性的な運動器の痛みに対しては、画像検査では捉えきれない体の歪みに目を向け、全身のバランスを整えるという、私たち柔道整復師の視点もまた、重要な役割を果たすことができると考えています。
もしあなたが、病院で「異常なし」と言われたにも関わらず、長引く痛みに悩んでいるのであれば、私たちのような代替的な視点を持つ専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。
あなたの痛みの根本原因が、もしかしたら「背骨の歪み」にあるのかもしれません。
